風色の本だな

風色の本だな

色の魔術師★エリック=カール

 エリックカール 
妖精と音符

 
エリック=カールは色の魔術師と呼ばれるほど、すばらしい色の世界を表現しています。 

 彼は絵本を創るとき、最初はなにも考えないそうです。

ただ、紙に色を塗る。

心の声に耳を傾け、感情のおもむくままに色を塗る。

線画で絵を描くのではなく、コラージュという手法を取り入れています。

コラージュはさまざまな素材を絵の一部に組み込み

全体を構成するという表現方法です。

エリックにとって絵本を描くことは自分自身の子ども時代の心をなぐさめ

大海を渡り直す意味を持ちます。

空想の世界は夢と希望にみちあふれている。

「可能性は無限なんだ!」

そう信じて70歳を過ぎた今も、童心に帰って絵本を描き続けています。

 
 妖精と音符

はらぺこあおむし

 ◆『はらぺこあおむし』◆ 

 エリック=カール・作/もりひさし・訳/ 偕成社


エリック=カールのおなじみのこの絵本は、小さなあおむしが毎日いろんなものを食べて大きくなり

最後にはさなぎから脱皮して美しい蝶へと成長していくお話です。

1969年の発売以来、この本は子どもたちの心をとらえてはなしません。

子どもたちは何度この絵本のページをめくったことでしょう。

小さなあおむしがさまざまなものを食べたあとが穴で表現された

実に生き生きとした絵本です。

色の美しさやしかけがすばらしい。

その上、あおむしという小さな命をいつくしみ

やさしいまなざしで見守っている作者の心が伝わってきます。

「はらぺこあおむし」のアイデアが絵本になるまでには

実はかなり時間がかかったのだそうです。

今では信じられないことですが、当時アメリカでは穴の空いた本を刷ってくれる印刷所がなかったのです。

ようやく印刷を引きうけてくれる会社を日本で見つけ、この絵本が生まれました。

妖精と音符

パパ、お月さまとって

 ◆ 『パパ、お月さまとって!』 ◆ 

エリック=カール・作/もりひさし・訳/ 偕成社


   エリック・カールが娘さんのために創った楽しい絵本です。

絵本の画面が左右上下に開いて、広~い空が絵本の世界になりました。

「お月さまをとって!」とせがまれたお父さんが長い長いはしごをかけて月をとりにいきます。

子どもたちの夢をかなえてあげたいという温かい愛情が伝わってくる絵本ですね。

妖精と音符


  うたがみえるきこえるよ

  ◆ 『うたがみえる きこえるよ』 ◆ 

 エリック=カール・作/ 偕成社


  この絵本に初めて出会った時、私の中で衝撃が走りました。

ページをめくるたびに、音楽がきこえ、見えてくるのです。

 そして最後にカールからのメッセージとして、次のような言葉が綴られていました。

「子どもたちにこの本を与える時は、感受性の豊かな与え方が必要です。

ゆっくりゆっくりとページをめくり、心の中で音楽を奏でます。

 私が講演会でこの本を使う時は、まず音楽なしで絵だけを見せ

次にモーツァルトのバイオリンコンツェルト作品K63の旋律を流します。」

 想像力が限りなく広がるこの絵本は、私のお気に入りの一冊です。




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